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蚕のパワー、シルクの恵み!

 毛髪はケラチンというタンパク質でできています。そしてその中には10%位の水分を含んでいるのが理想的な状態です。そしてその水分の蒸発を防いでいるのが保湿剤で、その中でも毛髪や皮膚の中に存在するものを天然保湿因子・ナチュラリーモイスチャーファクター(NMF)と言います。そしてこれがヘアケア商品には欠かせない原材料のひとつになります。

　このNMFの中で私が気に入っているものを挙げてみましょう。それはシルクプロテインというものです。これは蚕の繭(まゆ)から取られるタンパク質でその成分はセリシンといいます。繭は蚕が羽化するまでの住みかで、自然界において強い日差しや雨風から内部の小さな命を守り、成長するまでの快適な空間を保ってくれる天然のシェルターです。

古くから養蚕で繭玉を扱う作業者の手が手荒れをせずとてもきれいな状態な方が多くおられました。

 それはこのセリシンがコラーゲンの10倍の保水力を持ち、皮膚や毛髪に素早く浸透し保水タンクの働きをします。そしてこのセリシンは分解しやすく、水溶性で人間の皮膚のアミノ酸組成ととてもよく似ており、とても安全に皮膚や毛髪に天然ベールを作り出して、ダメージを減らし、しっとり艶やかに仕上げてくれます。

ところでシルクのタンパク質はこのセリシンと生糸性分になるフィブロインというものに分かれており、以前は生糸成分のフィブロインばかりを使用しセリシンは廃棄されていました。しかし現在研究が進んでセリシンの効果が見直されるようになりました。

　また毛髪のPHは髪に限らず、タンパク質はアルカリ性になればなるほどつながりが弱くなって、軟化していきます。逆に酸性になればなるほど硬くなっていきます。そして一番理想的な状態は弱酸性といわれています。